20代のうちにやっておくべきこと【BFT:アツシ】

20代のうちにやっておくべきこと【BFT:アツシ】

”過ちを認められる空気をつくること”(「ファクトフルネス」より)

みなさん、こんにちは。BFTのアツシです。

ごっちからこのリレーコラムのバトンを受け取り(いや、自分からもぎ取り(笑))ました。

「20代でやっておくべきこと」というテーマを聞いて、FT陣随一の「しくじり先生」を自認する自分として伝えたいことは山程ある訳ですが、恐らくそこらへん(どこらへん?)はこれから数多くのFT陣も述べてくれるだろうと思うので、今回僕からは、過去に読んだ本の中からインスパイアされた、少し違った切り口でお伝えしようと思います。

複雑な問題を複雑なまま捉える

その本とは、「あの」ユヴァル・ノア・ハラリの「ホモ・デウス」と、ハンス・ロスリングの「FACTFULNESS(ファクトフルネス)」(*以下「ファクトフルネス」)です。

(写真はこのメッセージのタイトルをイメージしながらブロックでつくったものです)

この2冊の作者はそれぞれ歴史学者と、医師であり公衆衛生学者というバックグラウンドの全く違う二人ですが、史実やデータを丹念にあたってこれから何がおきうるかを予測したうえで、それを回避する方法を考えよ、という「祈り」にも似た共通のメッセージが込められています。

「ホモ・デウス」では「無用者階級」などのフレーズが煽り文句的にマスコミなどでは取り上げられたりして、実際、膨大な歴史研究に基づく、訪れるかも知れないディストピアの未来予想がそこではなされてはいますが、著者はその予想の意図は「未来を変えるため」であるという趣旨のことを言葉を変えて繰り返し述べています。

例えば以下の様なフレーズです

予測を立てても、それで何一つ変えられないとしたら、どんな意味があるというのか”

本書で概説した筋書きはみな、予言ではなく可能性として捉えるべきだ。こうした可能性のなかに気に入らないものがあるなら、その可能性を実現させないように、ぜひ従来とは違う形で考えて行動してほしい”

一方の「ファクトフルネス」では、著者の過去の医療活動におけるデータ分析による気付きや、「常識」を覆すような発見のエピソードが語られます。その中で彼は未来を変えるための行動をすべき、と力強く言いながらも、

恐れを煽るのはいやなのだ”

と言います。

メディアではどうしても刺激的なフレーズやコピーで”恐れを煽る”マーケティング”をしがちですが、警鐘は鳴らしつつも、「複雑な問題を複雑なまま捉え」たうえで、「一緒に考えましょう」という誠実なスタンスに共感を覚えました。(「わかりやすさ」や「断定的に言い切る」ような言説には注意が必要)

 

 

学べない学習機関

しかし、僕が大学で外部講師として喚ばれて授業をさせてもらう時に強く感じるのは、多くの学生には上記の「一緒に考えましょう」というメッセージどころか、”恐れを煽る”情報すら届いていないこと

これは(日本の)教育制度の敗北を意味しているかも知れません。

「VUCAワールド」と呼ばれる、誰も見たことのない「過去と地続きではない未来」の担い手を育成する為には、既存の工場労働者や兵隊を育成するために発明された一斉授業では用をなさないのはむしろ当然なのでしょう(そして「ファクトフルネス」では世界の基本的な事実に対しての正答率が、専門家や学歴が高い人、社会的な地位のある人ほど低いことをデータで示しています)。

ですが、「希望」もあります。それは若い皆さんの「しなやかさ」です。

「ファクトフルネス」の訳者のあとがきに、”ファクトフルな生活”によって、他者の意見や情報を批判的に捉えながらも、それ以上に”自分自身を批判的に見” ることの大切さを示していますが、武者修行を経験した今の皆さんは、”ファクト”さえ手に入れることが出来れば、

・自身の信じてきたこと

・思い込み

・想像していた未来が唯一の正解ではないこと

等を一瞬で理解し、自ら方向修正をし、早々にその為のアクションを起こしていけることを、FTである僕は知っています(皆さんと面談などで話をさせてもらうと、そのしなやかさに驚くとともに安心もします)。

“過ちを認められる空気“をつくる

せっかく、皆さんの様にこれだけのしなやかさを身につけた若者がいる一方、ファクトを知らないだけで、貴重な時間を無駄にしている「彼ら」が大勢います。

武者修行を経験した皆さんは、既に「持てる者」です。

その、「持てる者の義務(ノブレス・オブリージュ)」として、そんな「彼ら」を”誰一人取り残さ”ずに、手を差し伸べてあげて欲しい。

つまり、望ましい未来を創造する担い手として、「ファクトフルネス」の訳者あとがきにある、”誰もが「自分が本能に支配されていた」と過ちを認められる空気をつく“ってあげて欲しいのです。

最終プレゼン当日に「全部のチームで優勝したい!」と願った皆さんなら、それが出来ると信じています。

これからも「自走式エンジン研究所」を通して、皆さんと一緒に「過去と地続きではない未来」を冒険できることを楽しみにしています。

ハンス・ロスリングの言うように、”バトンを受け取り、ゴールに駆け込み、ガッツポーズを取るのは 、次の世代だ” と信じて。

アツシの自己紹介

<表面>

多摩美術大学 デザイン科中退後、1996年 グローバルダイニング入社。当時最年少で店長を務めた後、飲食事業で独立。1年で軌道に載せた後に事業譲渡。2001年 BPO事業者でのマネージャー職を経て、2006年ソフトバンクテレコム(現ソフトバンク)入社。某通信会社との新会社設立プロジェクト等、各種プロジェクトに関わる。

ソフトバンクテレコム在職中に、コミュニケーションの量と質がプロジェクト成功を左右するとの経験則から、カウンセリング、コーチングを学び、上記業務の傍らソフトバンクユニバーシティ講師としてネクストリーダー向けコーチング研修等を担当。

また、在職中に教育/青少年育成事業をドメインとするNPO THOUSAND-PORTを設立し、代表に。2012年にソフトバンクテレコムを退社し同NPOに専従。

現在、主に高校生や大学生、若手社会人向けキャリア・デザインのためのPBL型ワークショップ設計やファシリテーションの実施、また、企業や行政機関での人材育成にも積極的に取り組む。

<裏面>

ここでは書けない?(笑)ので、自走式エンジン研究所のコンテンツの「放課後」にでも、お酒飲みながらお伝えします。

自走式エンジン研究所はこちらから

https://lab.mushashugyo.jp/

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